「新潮」5月号の浅田彰との対談で、蓮實重彦が「DVDで事足れりと思っているやつはバカ。DVDで見られない映画なんかいくらでもある。最近の観客には『もう二度と見られないかもしれない』という緊張感がなさすぎる」(大意)と発言している。これはまったくそのとおりで、ほんとうに映画が好きなら、少なくとも東京に住むべきだし、海外の映画祭やイベント上映にも足しげく通うべきだと思う。「蓮實先生だからできるのであって、普通の人にはそんな真似はできない」などと卑屈なことを言うやつはもっとバカ。わたしは蓮實信者じゃないけど、彼が年間ベストテンにどこかの映画祭で1回だけ上映された映画を選んだりするのは好き。「きっと自称映画マニアは劣等感を刺激されるんだろうなあ」と思うと、つい笑ってしまう。ただ、インターネットのブロードバンド配信とやらが本格的に普及したら、浅田や蓮實の嫌うバカがもっと増えるだろうな。わたしは映画好きになるのは、とうの昔にあきらめましたよ。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/index.html2005/04/17より。

ほんとにそうだなと思うので、私にしては珍しく、クリップしておこう。
ただし、私は適度に映画が好きな種類の人間だとも思うので、DVDなどの存在を否定するわけではないし、東京に住むべき(住みたい)とも思わない。生活の中で映画を楽しみたいと思うだけである。にもかかわらず、映画館で映画を観たいと思うのは、やはり「今」観ることに意味があるのだと思いたいからなのだと思う。